民間企業に就職することになりました

3月までいわゆるポスドク的ポジションにいましたが、4月から民間企業で働くことになりました。後進の参考になればと思って就活記録を残しておきます。私の専攻は社会心理学で、データ分析系の就職を探していました。専攻分野や志望職種によって大きく事情は異なると思いますのでその辺はご承知を。

なぜ民間企業に?

主な理由はこの辺です。

  • 大学に残っても研究ができなさそう
    懇親会に行くたびに聞くのが「雑務に追われて研究する時間がない」という話です。大学教員の仕事には「教育」「大学運営」「社会貢献」が含まれるというのは理解していますが、それでもそんなに研究する時間がないなら大学に残るメリットって何?と思ってしまったのが本音です。大学に籍がなくて困るのは科研費の応募資格と倫理審査くらいでしょうか……。特殊な実験機材が必要とかならまた話は違ってきますが。
  • 任期ありを渡り歩く生活が疲れた
    上記のように研究する時間がないのに、研究しないと次のポストがなくなるという矛盾。任期が切れたときのために貯金もしておかないといけないし、精神的にも辛いものがあります。あと、JREC-INの求人票にはせめて最低年収を書いてほしい。お金が全てではないですが、全てにお金が必要です。
  • 20代のうちに企業での実務経験を積んでおきたかった
    博士卒が企業就職を考えたときに立ちはだかる最も高い壁は「実務経験」だと思います。新卒扱いなら大丈夫でしょうけど、博士を新卒で取るかは企業によるので中途か第二新卒扱いで受けることもあり、そのときに実務経験で弾かれることが度々起こります。まあ、博士卒はストレートで27歳だけれども、学部卒だと社会人5年目ですもんね。ちらほらマネージャーのポジションに移る人が出てきて、年を経るごとにいわゆる平社員採用はどんどん減ってくるわけで……。と考えたとき、「若さ」という武器を使えるときに使っておこうと思いました。企業に比べるとアカデミアは年齢に寛容なので、もし戻りたくなっても年齢で弾かれることはないだろうというのもあります。
  • 研究と社会との距離が遠いなと思った
    社会問題を研究していた身として常々感じていたのが、研究で得られるのは implication であって解決方法ではないという点でした。おそらく、解決まで結びつけるには関係各所を巻き込んで動かしていくという事が必要で、そうしたことを経験したかったら企業にいたほうがいいのではと踏みました。別にimplicationで終わることが悪いということではなく、私個人の志向として解決までちゃんとやるほうが好きという話です。

 

就活フロー

以下私の就活記録です。

11月上旬 博士論文を書き終える

11月中旬 「来年から無職かあ……」と思い始める

11月下旬 アカデミア、企業問わずいろんな人に進路相談をする(話を聞いてくださった方々、ありがとうございました)

12月上旬 Greenに登録してカジュアル面談をいろんな人としてみる。カジュアル面談という名の実質選考もあったり。Greenは最終的には使わなかったけれども気軽に話を聞けるので役に立ちました。

12月下旬 ちらほら自己応募を始める。

1月下旬 あんまり結果が芳しくなかったので、エージェントに登録をして本格的に始める。

2月上旬 書類選考・適性検査

2月中旬〜下旬 面接

2月下旬〜3月上旬 内定

こんな感じで進めました。私は博士課程を退学してから1年特任助教をして博士号を取得したので中途扱いになりました。新卒だとかなり勝手が変わってくると思います。最終的にはエージェントさんにとてもお世話になりました。特殊な職歴を持つ私を最後までちゃんとサポートしてくださった担当さんには本当に感謝です。

中途採用で臨むなら、転職エージェントを使うほうがいいと思います。エージェントが企業側の欲しい人材や面接で重視する内容、過去の不採用理由なども教えてくれて、書類や面接へのアドバイスももらえるので、就活初心者の身としてはすごく助かりました。何より企業ごとに履歴書を送ったりのやり取りを全部代行してくれるので面倒がありませんし、求職者側は完全無料で使えます。ただ、エージェントは担当の方との相性もあるので複数登録するのがいいと思います。

 

戦績

エージェント経由で応募したところは以下のような戦績でした

応募35社→書類通過8社→1次面接5社→最終面接3社→内定2社

上記は他社から内定が出たために途中で辞退した会社も含まれているので、落ちたわけではないこともあります。エージェントさんに20社くらい応募して内定1社と聞いていたので、大体同じような結果になりました。私の場合はデータ分析系を中心に受けていたので、求人は多めで、そもそも人材不足の領域らしく多少経験無しでも取ってもらった印象です。それでも最初に10社とか一気に落ちると不安にはなりますが……。

中途面接は変な質問はほとんどなく、自己紹介・志望理由・データ分析の経験・就職活動の軸といったオーソドックスな質問が中心でした。ちゃんと準備していればそんなに詰まることはないと思います。ただ、ほとんど研究の話は聞かれず、特任助教をする傍らデータ分析のお手伝いをしていた企業での経験について聞かれることが多かったです。アカデミアの人が転職市場に出てくるのは稀らしいので、採る側も正直聞いてもわからないのだと思います。そのため、以下のようにビジネススキルに翻訳して話すことが大事だと思いました。

  • 科研費(学振)の申請書→企画書執筆
  • 科研費(学振)の管理→プロジェクト予算の管理
  • 研究の遂行→プロジェクトマネジメント
  • チュータリング・学生指導→部下の教育
  • 共同研究→コミュニケーション能力・他者と協働しながらのプロジェクト推進経験
  • 学会発表・授業経験→プレゼンテーション能力
  • 調査・実験→人を対象にした定量・定性アンケート
  • 留学経験→英語力(要TOEIC)

 

その他雑感

  • 結果的になんとかなったからよかったが、もう少し早めに動き出したほうが余裕をもって転職活動できたはず。
  • 調子に乗って応募しすぎると面接がつまりまくって大変なことになる(なった)。
  • 企業研究をちゃんとしていくと面接は好印象。あんまりしない人もいるらしい。
  • 志望理由は「なぜ民間に行くのか」「なぜこの業界か」「なぜこの会社か」の3段構え。1番目と3番目はどの面接でも必ず聞かれる。
  • 求人のほとんどは東京なのでWeb面接は本当に助かった。志望理由とかをEvernoteにメモして面接中に見ていたのは内緒。
  • 書類が一番厳しく落とされる。面接に一旦進めばその後は割とトントン進んだ(もちろん落ちることもある)。
  • ほぼ全ての職が任期なしで最低年収も書いてくれているの最高。
  • データ系で求人が多いのは SQL>Python>R  SQL使えたらかなり幅が増えるように思った(自分はPythonとRだけ)。機械学習はすごく求人多いので経験あるとかなり有利そう。
  • TOEICと統計検定2級は持っててよかった。後はあんまり聞かれない。英検とTOEFLも持っているがTOEICしか聞かれない。
  • 満期退学は新卒の権利がなくなるのでもう少し考えて意思決定すればよかった。
  • 在学中にもうちょっとインターンとかしておけばよかった。
  • 民間 vs アカデミアという二項対立は無意味。双方に多様性がありすぎる。全ての「民間は◎◎ですか?」対する答えは「企業による」。

以上、私の就活体験記でした。院生や若手研究者の方々が進路を考える上での参考になれば、嬉しい限りです。

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